低い賃金と高い労働分配率

豊かな国を取り戻そう。

日本が「JAPAN as No1」と呼ばれたのは今から40年程前の事です。米国は今の対中国のように日本を脅威と思い中国は日本を目指していました。それから日本はバブル天国とバブル崩壊を経験して20年前に転換期を向えました。

今の日本は低い生産性と低い賃金に喘いでいます。
今の日本は豊かな国と言えるでしょうか?
もう一度豊かな国に戻るには何が必要でしょうか?

各国賃金増加率の比較

1999年と2019年この20年の賃金増加率の比較があります。

英国 80% 米国 74% 仏蘭西 64% 独国 57%
これに比べて日本は-5%です。

日本は人件費やIT経費をカットする事が経営戦略だと思っている経営者が多いと思われます。この20年間各国は従業員に創造性を与えてインセンティブを増やしてきました。これに対し日本は利益率を上げるためにコストカットを続けてきました。
これが「利益が落ちたらリストラする」「従業員は消耗品」「人件費はコスト」との考えが浸透し、結果として日本の総力を落としていきました。
これが賃金が上がらなかった原因であると考えます。

各国最低賃金の比較

英国の最低賃金を1998年と2018年の20年を比較(円に換算)しました。
1998年 530円 → 2018年 1150円

これに比べて日本は902円です。1000円論争がありましたが実現しませんでした。また米国は1500円で年収1400万でも低所得と論じられ物議をかもしました。

経団連や評論家の中には、最低賃金を上げると倒産が増え経済が破綻して国が滅ぶと言う人がいます。しかし、最低賃金が低いからデフレから脱却が出来ず国力が低下しているのも事実です。

韓国の文大統領は公約通り最低賃金の大幅な賃上げを実行しました。これを見て多くの経済アナリストは韓国経済は失速すると公言しました。生産性を上げずに急激な賃上げを行えば危機的状況になるかも知れません。

低い生産性が低賃金を生む

企業はコストカットなので人件費を大きく削減してきました。それでも利益率が減るとさらなる削減が行われます。
日本は諸外国と比較して生産性が低いと言われております。
企業の生産性は付加価値÷社員数です。また付加価値は売上-社内費で人件費がその多くを占めています。
人件費を削減しても生産性は上がらず、さらなる貧困を生むだけです。

英国は20年かけて最低賃金を倍増しています。
急激な上がり方は危険ですが働き方改革と生産性向上で、計画的に少しずつ上げる必要があるのではないでしょうか。

賃金格差のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

労働生産性と労働分配率

人件費は労働生産性と労働分配率で決まります。
労働生産性は付加価値を社員数で割った値で社員一人当たりの生産性がわかります。
労働分配率は付加価値から人件費の割合です。
人件費は労働生産性と労働分配率を乗算した値です。
付加価値は売上から社外費を減算した値です。

労働生産性 = 付加価値 / 社員数
人件費    = 労働生産性 X 労働分配率

この相互関係から言える事は、賃金を上げる為には労働生産性か労働分配率を上げる必要があります。中小企業の労働分配率は高くこれ以上は上げられません。となると労働生産性を上げる必要があります。

工場での業務の労働生産性を細かく把握できてますか。
物事を雰囲気で決めてませんか。
生産性の高い仕事はどの顧客のどの業務か、そして誰の作業か、細かくデータを取って分析しましょう。

高い労働分配率

最低賃金の上昇が話題になっています。
では最低賃金を上げると中小企業の倒産が多発するでしょうか。
日本の製造業の構造的欠陥として中小企業の労働分配率が高い事が挙げられます。

労働分配率=人件費/付加価値(粗利)
小規模 78.35% 中規模 76% 大規模 51.3%  (2018年労働白書)

これは、小規模の企業ほど付加価値に占める人件費の割合が高い事を示しています。
日本は95%以上が中小企業ですからこれでは賃金を上げられません。
労働分配率を維持して賃金を上げる居には付加価値の増加が条件となります。

労働分配率は何割が適正なのか:日経ビジネス電子版

参照:日経ビジネス

産業の構造的欠陥

次に日本の製造業の構造的欠陥として、大企業支配という構図があります。
日本の製造業は、江戸時代の家内性手工業から発展し脱却できていません。
トヨタ自動車の下請け対応として「生かさず殺さず」とう有名な言葉があります。
と言っても、大企業の利益率は諸外国の大企業より遥かに低いです。
日本では下請けを絞って10%そこそこなのに、米国では20%~30%が標準です。
諸外国の大企業とは何が違うのでしょうか。

ドイツの製造業と比較

ドイツ 日本
取引形態 ミッタルタント
対等
系列/下請け
競争力 付加価値で勝負
競争力は高い
価格で勝負
競争力は低い
海外取引 15.9% 5.9%
デジタル化 ドイツ国内で広く浸透
インダストリー4.0
普及率が低い

出典:BS-TBS報道特集

大企業でも利益率は低い

日本では下請けを絞って10%そこそこなのに、米国では20%を超えています。
他業界の例ですが人材派遣のパソナは0.2%しかありません。
同業界1位のリクルートHDが7.6%、2位のパーソルHDが0.8%、3位のアウトソーシングが2.3%です。

外国の大企業とは何が違うのでしょうか。
グローバル戦略、企業構造、会計処理等いろいろあると思います。海外の大企業は自前で完結できるシステムを構築してビジネスをしています。自前で工場を持って、自前の社員を持って、自前で販売して、自前でサポートしています。

日本の大企業は工場の維持管理だけに囚われています。

最も大きな違いは、グローバルに世界市場をターゲットにしているのに対して日本市場だけをターゲットにしている事の違いです。

大企業が成長しなかった理由

1.日本は独自規格にこだわり日本内でのシュア争いに没頭してきました。
40年前、NECのパソコンが独自規格の縛りで業界を寡占していました。これに対しIBMがオープンなグローバルを提示し日本を正解市場から締め出しました。
また、ドコモのi-MODEやソニーのウォークマンも独自規格に拘りAppleのスティーブンジョブスがこれを発展し世界の覇者になっています。

2.日本の技術は一流かも知れませんが日本にしか通用しない規格では意味がありません。例えば、鉄道分野で新幹線の技術は世界一と言われています。しかし日本の独自規格では世界には通用しません。

3.日本の大企業は殆どが自社で販売網を持っていません。日本古来の問屋制度が利益圧迫の原因の一つです。日本を代表するトヨタでさえ販売網を持たず工場の位置づけで、狭いシュアの中で専門化分業化してきました。

中小製造業の頑張りが復活の鍵

日本は大企業支配の産業構造です。だから、大企業の収益率の低さが中小企業を圧迫し日本の国力を落として入る原因の一つであると考えられます。しかし今はインターネットとグローバルの時代です。
中小企業もデジタル化で大企業の縛りから解放されるべきであると考えます。

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